美玲は、ゆーくんが好きだ。幼稚園に転入したとき、いちばん初めに話しかけてきてくれたのはゆーくんだった。金髪を肩まで伸ばして、はじめはゆー「ちゃん」かと思ったけど──それは今のクラスのみんながそう思っていたはず──、どうやら男の子でそんなミステリアスなところも大好きだった。
 なにより。毎週日曜日朝の女児向けアニメ・セラプリの話を熱心にしても、嫌な顔しないで聞いてくれたから。

(沙羅より先にボクが好きだったんだもん)

 その事が美玲には、じまんなのだった。

 ……

 そんなゆーくんが一週間、学校を休んでいる。沙羅も休んでる。登校途中の二人の家の呼び鈴を鳴らしても誰も出ない。ゆーくんの家はガラスが割れていた。何かあったのかと美玲は怖くなった。

(……まさか……おおかみが?)