……おじいちゃんが重い口調で口を開いた。

「始祖を……弱めることが出来れば……そうすれば、倒せるかもしれん」

 どうやって、とみな口々におじいちゃんに聞いた。

「おおかみたちを殺すのだ。おおかみたちは、始祖の手先。それら全てを殺すことができればあるいは……それにゆうくんの願いも叶えられる。ベルベッチカの再生だ。……だから、君にしかできない。君が、クラスメイトや村人たちを、殺すんだ」

 ゆうは自分の両の手を見た。

「殺す……僕が。……もうそれしか、残ってないんですね」
「そうだ。君が、この村に終止符を打つんだ」

『やろう、愛しいきみ。私がついているよ』

 みなが、ゆうを見ている。
 ゆうは答えた。そしてそれが、この村の最初で最後のヒトの反撃ののろしだった。

「……わかりました。僕が、殺します。おおかみを。みな」