『私が話そう。愛しいきみ。みんなに伝えておくれ』
「あ……ベルが……ベルべッチカが、みんなに伝えたいそうです。えと……あの時、僕は始祖におそわれたみたいです。僕も新月の目を開いて戦ったけれど。えと、圧倒的な力の前に、何も出来ずに負けたみたいです。僕のお母さんとお腹の赤ちゃんは……始祖に、さらわれて、今はどこにいるか……わからないそうです」

 ベルの言葉を伝えながら、ゆうは、目に涙があふれてきた。
 おじいちゃんは嘆いた。そして何秒かして、聞いてきた。

「ベルベッチカに聞いて欲しいんだが、始祖が誰か見たのかい?」
「えと、新月の目でも見えなかったそうです」
「そうか……やはり始祖は『我々では認識できない』のだな」
「どうすれば母さんを……静を取り戻せるんです?」

 お父さんが食い気味におじいちゃんに聞いた。

「始祖を……倒すしか、ないだろう」
「だけど今のゆうちゃんじゃあ、倒せないんでしょ?」

 沙羅が素直に感じたことを言う。ゆうも、素直に認めた。

「……うん。今の僕じゃ、手も足も出なかった」