丸い形の蛍光灯が大小二重に光っている。上質な木材であしらわれた天井。
 和室に寝ているが、ゆうの家ではない。

「お母さん……お母さんはっ? いたたたた……」

 身体を起こすと、左胸にずきんっと鋭い痛みが走る。

「アバラが折れとる、病院に行かねば。横になってなさい」

 沙羅のおじいちゃんが言った。ここで初めておじいちゃんの家だとわかった。

「どうだっていいです、お母さんはどこ?」

 クセのあるブロンドヘアは、身体を起こしてもなお布団に接するほど長い。青い瞳は、まっすぐ、沙羅のおじいちゃんを見ている。全部、ほんとのお母さんからもらったものだ。

「お父さんが見た時はもう、お前しかいなかった」
「そうなんだよ。あの場にいたのはゆうくんだけ。私らにはわからんのだ」

 ゆうくん。この姿を見てもそう呼んでくれるおじいちゃんの心遣いが嬉しかった。