「静っ!」
「ごめんなさい。ごめんなさいあなた。赤ちゃん……もう……死んじゃってるみたいなの……」
「俺の方こそすまない。かけつけるのが遅くなった」
「ごめんなさい……」
「すまない……静……すまない……」

『すまない』

 三ヶ月後、自宅、夫婦の寝室、朝。

「静。今日も起きれなさそうか」
「……ごめんなさい」
「もう三ヶ月だ。そろそろ立ち直らないと……」
「もう……ですってっ? まだ、まだ三ヶ月しか経ってないのよっ?」
「すまない……」
「本当なら今頃お腹が大きくなって、お腹の中で私をけってるはずだったのよっ!」
「すまない」
「あなたはいいわよ、学校に行けば子供たちに囲まれて全部忘れて仕事ができる。暗い部屋にいる私の気持ちなんて、わかるはずがないじゃないっ!」
「……すまない……」

『すまない』

 三ヶ月後、冬、帰宅中、夕方。
 がさっ、がさがさっ。

「誰か? そこに誰かいるのか?」
「……欲シイカ……子供ガ……欲シイカ……」
「何を言ってる?」
「明日 大祇神社ニ 礼拝セヨ……子供ヲ授ケヨウゾ……ソノ代ワリ、対価ヲ モラウ」
「何だって? おい! おい!」