「わあっ!」

 ゆうは飛び起きた。

「着いたわよ」
「あ……寝てた、僕?」
「ええ、ぐっすり」

 そういって、お母さんは笑う。ゆうは体を起こして、お母さんを見る。

「僕のこと、なんとも思わないの? こんな、男でも女でもない、僕のこと……」
「なーに言ってんの。あんたが子供でよかったわよ、ゆうちゃん」

 お化粧をしてなくて左目の火傷のあとが目立つお母さんは、笑って言った。
 涙が、また溢れた。運転席のお母さんの左腕にすがって、泣いた。

「あらあら、今日は泣き虫さんね」
「……いいじゃんか……」

「会えて嬉しいよ。私のエレオノーラ」

 びくっ。

「どした?」

 夢に見たオリジンの声が、聞こえた気がした。