「アレク、アレク!」
ジャパンのトーホク地方の、どこか。シンカンセンの中で見つかって、モリオカで降りて、それから何日も、何日も逃げ回った、どこかの山奥。雪が降っている。
目の前では、大好きなアレクがお腹に大穴を空けて、口から滝のように血を流している。真白な道路に、真っ赤な血が広がる。ベルベッチカは、泣き叫んでいる。腕の中にエレオノーラを抱きながら。
「おぎゃあ。おぎゃあ」
「ベル……ベッチカ……にげ……ろ」
「いやだ! きみを置いて逃げるなんてっ」
「……ベルベッチカ……」
きっ。二十メートル先にいる満月のオリジンをにらみつけた。
けれどどんなににらんでも、真っ黒な輪郭以外その姿をうかがい知ることは出来ない。
「にげろ……君では……勝てない……エレオノーラを……守るんだ……」
ごほっ……
そう言うと、アレクは動かなくなった。
「よくも……よくもアレクをっ!」
ベルベッチカの目が赤く光らせ、目に角を立ててオリジンをにらむ。
アレクのオレンジのダウンにくるまれたエレオノーラを、アレクの隣に置いた。
ジャパンのトーホク地方の、どこか。シンカンセンの中で見つかって、モリオカで降りて、それから何日も、何日も逃げ回った、どこかの山奥。雪が降っている。
目の前では、大好きなアレクがお腹に大穴を空けて、口から滝のように血を流している。真白な道路に、真っ赤な血が広がる。ベルベッチカは、泣き叫んでいる。腕の中にエレオノーラを抱きながら。
「おぎゃあ。おぎゃあ」
「ベル……ベッチカ……にげ……ろ」
「いやだ! きみを置いて逃げるなんてっ」
「……ベルベッチカ……」
きっ。二十メートル先にいる満月のオリジンをにらみつけた。
けれどどんなににらんでも、真っ黒な輪郭以外その姿をうかがい知ることは出来ない。
「にげろ……君では……勝てない……エレオノーラを……守るんだ……」
ごほっ……
そう言うと、アレクは動かなくなった。
「よくも……よくもアレクをっ!」
ベルベッチカの目が赤く光らせ、目に角を立ててオリジンをにらむ。
アレクのオレンジのダウンにくるまれたエレオノーラを、アレクの隣に置いた。

