「大変なことになりそうね」

 テレビに釘づけになっていた考子が表情を曇らせた。

「ここで食い止められるかどうか、それが感染拡大防止の瀬戸際だな」

 新は眉間に皺を寄せた。

「大丈夫かしら?」

「さあ、わからない」

「私が妊娠した時にこんなことが起こるなんて……」

 考子は泣きそうになった。
 すると、心配した新が優しく抱き寄せて、耳元に口を寄せた。
 
「大丈夫だよ。心配しなくていいからね。僕が全力で守るからね」

 皇太子さまが雅子さんにプロポーズした時のような言葉が新の口から発せられた。

「ありがとう」

 胸が詰まった考子はそれ以上言葉を継ぐことができなかった。
 新の顎の下に顔を埋めて、彼の拍動に抱かれ続けた。