2月5日、検査結果が公表された。
 10名が感染していた。
 集団感染が起こっていた。
 至急対応が協議され、彼らは全員、神奈川県内の指定医療機関へ搬送されることになった。
 
 大変なことが起こりそうだった。
 なにしろこの船には3,700人を超える乗客乗員が乗っているのだ。
 それも、船内という限られた空間の中で飲食や娯楽や運動を共にしているのだ。
 感染者が10名で終わるわけがなかった。
 それに、乗客乗員は日本人だけではなかった。
 アメリカ人が88人、フィリピン人が54人、カナダ人が51人、オーストラリア人が49人など、28の国と地域の人が乗っているのだ。
 感染がどこまで広がっているのかということが最も深刻な問題だったが、この人たちをどうするのかということも、それに劣らず大問題だった。