「ところで、陸上では生命は誕生しなかったの?」

「そう、陸上では無理だったの。強い紫外線が立ちはだかっていたから」

「そうか、紫外線か~、なるほどね。強い紫外線は生物のDNAを破壊してしまうから生きていけないんだよね」

 納得顔で新が頷いた。
 
「そうなの。陸上で生物が生きていくためには紫外線対策が必要だったの」

「確かに。その頃、UV化粧品はないしね」

 新は化粧品会社のコマーシャルを頭に浮かべていた。

「水着の女性のことを考えていたでしょ」

 頭の中を見透かされた新はドキッとしたが、〈そんなことないよ〉というふうにポーカーフェイスでとぼけた。

「UV化粧品はなかったけど、強い味方が生まれたの。なんだと思う?」

 いきなり質問をふられた新は戸惑ったが、頭の中の水着女性を追い出して必死に考えた。

「オゾン層」

「そう、大正解」

 考子が、新の頭をイイ子イイ子するふりをした。