「おはよう」

 目覚めた時、新の声がしたので手を伸ばしたが、そこに彼はいなかった。
 ベッドサイドの椅子に腰かけて、本を読んでいた。
 
「何を読んでいるの?」

 新は表紙を考子に向けた。
『太陽系の神秘』という本だった。
 考子の蔵書であるその本を朝から熱心に読んでいたのだ。
 
「君の話についていきたいからね」

 新は軽くウインクをした。
 そして、「食事の用意ができているよ」とダイニングの方に顎を向けた。
 
「まあ~💗」

 考子が上半身を起こすと、「そのまま、そのまま」と言って新の両手が伸びてきた。
 キョトンとしていると、左手で上半身を、右手で下半身を同時に持って抱き上げられた。
 
 えっ、
 これって、お姫様抱っこ? 

 考子は思わず両手を新の首に回した。
 すると、「愛してるよ」と新が考子のおでこにキスをした。
 幸せな気分になった考子が「もっと?」と甘えたような声を出すと、新の唇が考子の唇を覆った。
 考子は幸せ過ぎてとろけそうになった。