「国会議員に占める女性の割合が約10パーセントで世界最低レベルなんだって。確かに少ないわよね。スペインを始めヨーロッパはほとんど30パーセント以上だし、中国で25パーセント、韓国でも17パーセントあるのよ。10パーセントなんて信じられない。それに、女性の閣僚比率は約5パーセントで、議員比率よりももっと低いのよ。もちろん、総理大臣に女性がなったことはないし、日本は本当に男社会というのがこれでよくわかるわ。こんな状況だから少子化が止まらないのよ。女性の気持ちを理解していないオジサンたちが政策論議してもロクなものは出てこないわよね」

 その通りだった。
 首相官邸のホームページには『すべての女性が輝く社会づくり』というキャッチコピーが大きく表示されているが、足元の議員比率を見ると、それが掛け声だけなのがわかる。
 こんな状況を放置したままで『日本はG7のメンバーとして世界をリードしています』と言っても説得力はまったくない。
 男女平等社会を早急に実現しなければ、早晩日本の成長は止まるだろう。
 いや、衰退が始まるだろう。
 
「でも、どうしたらオジサン主導型社会を男女平等型社会に転換できるのかしら?」

 考子は思いを巡らせた。

「そうなの。簡単に答えが出れば楽なんだけどね」

 オジサン批判を繰り返した真理愛にも名案があるわけではなかったが、ヒントになる考えはあるようだった。

「女性の投票率を上げることが近道になるかもしれないわね」

 その通り、というように頷いた考子はスマホで投票率に関連する情報を検索した。

「あったわ。直近だと平成28年の参議院選挙の結果が出てる。女性が54.3パーセントで、男性が55.1パーセントよ」

 やっぱりね、というように真理愛は大きく頷いた。

「約半分しか投票していないのよね。これがもし三分の二になったらどうなるかしら。女性の投票率が10パーセント以上上がることになるから、かなりのインパクトだと思うわ」

「確かにね。でもどうすれば10パーセント以上上がるか、だよね」

 二人は睨めっこをするように見つめ合い、眉間を寄せて考え込んだ。
 すると考子が何かを思いついて、「そっか~」と言ってスマホで検索を始めた。