観月祭が終わってから、学校内はどことなくピンク色と紫色のオーラが漂っている。もちろんピンクは幸せオーラ、紫はその幸せを妬むオーラだ。
学内では観月祭の後カップルが急増した。例の伝説にあやかってたくさんの学生たちが好きな人に想いを告げたからだ。
そして噂好きの学生たちによって、観月祭の翌日には付き合ったカップルのほとんどが全学生に認知されることとなっお。
一番騒ぎになったのは聖仁さんと瑞祥さんのカップルだけれど、それ以上に私たちの間で盛り上がったカップルがひとつある。それは────。
「あれ? 泰紀、今日は寝坊してねぇじゃん! さては彼女のモーニングコールで起きたか!?」
「まだ付き合い始めて一週間だよ。熱々なんだからモーニングコールくらいするでしょ」
「青春だねぇ。眩しすぎて俺目開かないや」
泰紀くんが答えるよりも先に皆が一斉にからかう。
「うるせぇよ! そもそも恵理だって学校あんだから、そんなにしょっちゅう電話なんてしねぇし!」
あらやだ聞きました?聞きましたわよ、恵理ですって恵理。やぁね呼び捨てなんかにしちゃって。
井戸端会議しているおばさん達のように口元に手を当ててお互いの肩を叩き合う皆に、苦笑いをうかべた。
それやめろよ!と泰紀くんがみんなに飛び掛る。椅子や机がドンガラガッシャンと倒れてもう大騒ぎだ。
ポッケに入れていたスマホがブルブルと震えて、トークアプリにメッセージが届いた通知が来た。
画面をたちあげると送り主は親友だった。