「聖仁さんと何かあったんですよね……? 方向性の違いですか?」
「もしくは本当は違うことをしたかったとか?」
「ちげーよ。アイドルグループの解散理由みたいに言うな」
冷静なツッコミに思わず吹き出した。
「だって明らかに挙動不審なんですもん……!」
「ねぇー? ホントに解散前のアイドルかコンビ芸人みたい! なんでなんで? ほんとに喧嘩でもしたの?」
ジリジリと迫ってくる二人に顔を真っ赤にした瑞祥さん。うう、と言葉を詰まらせる。忙しなく視線を彷徨わせた。
「……せ、聖仁が」
「聖仁さんが?」
観念したようにギュッと目を瞑った。
「せ……聖仁が格好よく見えるんだよッ!」
はぁー、はぁーと瑞祥さんの荒い息が響く。目を点にした私たち三人はしばらくの沈黙のあと顔を見合せた。
「何をそんな今更」
「聖仁さんはずっとイケメンですよ……? 受け顔の」
受け顔かどうかはさておき、二人の意見には同意だ。
「聖仁さんはずっと前から格好いいと思います」
「嘘だろ!? 巫寿まで!?」
「え? あ、はい……」
「あのもっさりヘアーの聖仁だぞ!?」
確かにもっさりヘアーではある。
私はあのクルクルした髪型も聖仁さんの優しい性格とよくあっていると思うけれど。