「専科には部活もないし、二人だけで舞う事はもうないだろうね」

「ハッ……確かにそうじゃん! 今日で最後だったか!」


まじかー!と騒ぐ瑞祥さんに聖仁さんは呆れたように息を吐いた。


「何も考えてなかったの? 俺はそれなりに気持ち込めて舞ったんだけど」

「お前と舞う事なんて日常すぎて、いちいちそんな事考えるかよ〜」


むしろ聖仁がそんな事考えてることに驚きなんだけど!とカラカラ笑う瑞祥さん。


「……考えてるよ、いつも。練習の時も本番の時も、休憩時間にふざけて舞う時も。どんな時でも瑞祥と舞う神楽は、俺にとって特別だからね」


思わず私の方が息が止まりそうになった。聖仁さんのあまりにも真っ直ぐな想いに胸が詰まる。

「きゅ……急になんだよ!」と瑞祥さんが動揺している。私ですら息が止まったんだから無理もない。頑張れ瑞祥さんと心の中でエールを送る。

今こそ素直になる時です、瑞祥さん!


「わ……私も」


風が吹けば消えてしまいそうな声。


「私も……聖仁と舞うのは、好き、だけどよ」

「明日は槍でも降るの? 瑞祥が素直なのちょっと怖いんだけど」

「コノヤロウ喧嘩するか!?」


あああ、と額に手を当てて肩を落とす。

せっかくいい雰囲気だったのに、聖仁さんってば余計ことを!