やがて曲が止んだ。鳴り止まない拍手を満面の笑みで受ける二人は手を取り合ってお辞儀をする。


「いいなぁ……」

「ん? 何か言った?」


思わずそう呟いてしまい、聞き返す天叡さんに慌ててブンブンと首を振った。

戻ってくる二人を見つめた。

聖仁さんと瑞祥さんが少し羨ましい。

私にも親友はいるし頼れる友達もいる。けれど、あの二人のように心からお互いを信頼し、背中を預け合い、自分よりも優先したいと思えるような関係かと言うと少し違う気がする。

誰かのために必死になれるって凄く素敵な事だ。

私もいつかそういう相手に巡り会うことができるんだろうか。


「つっかれたー!」


瑞祥さんたちが待機場所に帰ってきた。

「いえーい!」と両腕を掲げて走ってきたので、慌てて手を挙げて高いところでハイタッチを交わす。


「おふたりとも、本当に綺麗でした!」


興奮気味にそう身を乗り出せば「カカカッ」と笑った瑞祥さんがぐりぐり私の頭を撫でる。


「あんがとな! でも最後だと思ったらとちょっと力入っちまった!」

「はは、俺も俺も」


珍しくテンションの高い聖仁さんも笑って続ける。

月兎の舞は18歳以下の舞だから、来年から専科に上がる二人は今日の演舞が最後の奉納になる。