案の定少し不安げな顔をした瑞祥さんが肩を落とし、ウェーブのかかった毛先を引っ張る。
聖仁さんってば、瑞祥さんのことになると急に乙女心が分からなくなるんだから……。
後ろから見える耳が真っ赤になっているので、間違いなく何かしらの好感を抱いているはずなんだけど。
「乙女心が分かってないねぇ、聖仁のやつ」
天叡さんが笑いながら私の隣に並んだ。
え、と目を丸くする。
「天叡さんもしかして……」
「そのもしかして。最近の二人分かりやすすぎるもん」
ひひ、と笑ってメガネのブリッジを押し上げた天叡さんは二人を追いかけて走り出した。



