時間ギリギリまで支度に費やした私たちは大慌てで集合場所へ駆けつけた。
天叡さんと雑談していた聖仁さんは私たちの足音に気付き、遅かったねと振り返り目を見開く。
「……んだよ。そんなジロジロ見んな」
ぽかんと口を開けて瑞祥さんを凝視する姿に後ろでうんうんと頷く。
分かります、分かりますよ聖仁さん。今日の瑞祥さんは言葉が出てこないほど綺麗ですよね……!
背中まである長い髪は軽くウェーブがかけられ、編み込みが得意な玉珠ちゃんによって複雑なヘアアレンジが施されている。
普段からあまりスキンケアに関心がない瑞祥さんだけれど、今日は導入化粧水化粧水美容液乳液……と様々なものを叩き込まれ赤ちゃんみたいなふわふわなお肌に調えられた。
頬には血色がよく見える柔らかな朱色のチークを、まつ毛はくるんと上向きにされて唇は濃いめの赤で大人っぽい。
何もしていなくても充分美人な瑞祥さんだけれど、今日は一段と美しいかった。
「美容サークル参加したの? 二人とも可愛いね」
すかさずそう褒めた天叡さんに、そうか?と少し嬉しそうに頬をかいた瑞祥さん。
「聖仁? おーい聖仁、大丈夫?」
「あ……ああ。うん、そろそろ行こうか」
くるりと背を向けて歩き出した聖仁さんに「ええっ」と心の中で声を上げる。
絶対今褒めてあげるべきだったのに!



