「放課後に何するの?」

「何ってヤダなぁ巫寿さん! する事なてひとつに決まってるじゃないですか!」


少し頬を赤くしたその子は私の方をパシパシ叩いた。


「好きな人に告白する日なんですよ? みんなで最高のコンディションに仕上げるんです」


そこまで聞いてやっと「なるほど」と頷いた。

観月祭の夜は皆がこぞって好きな人に告白する。そのためにみんなで準備をしようといったところだろう。


「瑞祥さんは今年も不参加ですか? まぁ準備とかリハーサルで忙しいですよね」

「あー……いや、今年は私も参加しようかな」

「え!? 瑞祥さん誰かに告白するんですか!?」

「馬鹿ッ、ハゲ妖怪に身だしなみちゃんとしろって言われてんだよ!」


ハゲ妖怪?と不思議そうに首を傾げ、私はたまらず吹き出した。

確かにこの前の土曜日、寝坊したのか時間ギリギリに稽古場へ飛び込んできた瑞祥さんの寝癖だらけの頭を見て、「当日は来賓客も来るんだぞ」とネチネチ嫌味を言っていた。


「じゃあ瑞祥さんは参加で伝えときます! 巫寿さんも折角なんでどうですか?」

「じゃあ……参加しようかな」

「二人とも参加ですね、了解です!」


詳細はこれみてください、と手書きのプリントを私達に渡すと、パタパタ走っていった。

プリントに目を落とす。

ポップな文字でデカデカと「大好きなあの人を撃ち落とせ♥可愛くなって告白を成功させましょう!」と書いてある。