「では最後に巫寿さん。発表してください」


先生に指名され返事をして立ち上がった。ホワイトボードの前に立ちペンを握る。

私が丸を書いたのは恵衣くんや嘉正くんたちと同じ頭頂部、そして左手全体を囲うように大きく丸を書く。

皆が少し不思議そうな顔をした。


「えっと……私も恵衣くんたちと同じで、頭頂部に刺激がありました。ただ心地よい感覚って言うよりかは、むずむずする感じでした。それと────」


自分がペンで囲った左手のイラストを見る。


「左手が動かなかったんです……神事の最中に」


指先に痛みが出たり付け根に痺れを感じる場合があるというのは習ったけれど、左手が動かなくなるなんてことは習っていなかったはずだ。

痛みは感じないけれど心地よいという訳でもない。それに手が動かなくなるなんて、なんだただならぬ感じがする。


「あら。神様は巫寿さんとお話したいことがあるのね」

「へ?」


明るい声でそう言った先生に目を瞬かせた。


「これも三年生の範囲なんだけれど、左手が動かなくなるのは"神が伝えたいことがある時"なのよ」


神が、伝えたいことがあるとき。

だから先生は「神様は巫寿さんとお話したいことがあるのね」と言ったのか。

でも伝えたい事がある時と警告している時って何が違うんだろう。少なくとも痛みは感じていないから、私に対して怒ってはいないんだろうけど……。