頭に刺激を感じて続けて左手の指にも何らかの刺激があった場合、その指に応じてついている霊が異なってくる。

どうしても覚えられないと瑞祥さんにボヤいた時に、いい語呂合わせを教えてもらった。

確か────。


「……親指は親戚の先祖霊、人差し指が父親と祖父の霊で中指が母親と祖母、薬指が兄弟叔父叔母で、小指が子供の霊です」

「素晴らしいですね、きちんと覚えられています。よく勉強していますね」


すげ〜、と皆が拍手を送ってくれた。無事答えられたことにホッとしながら席に座る。

隣に座っていた嘉正くんが私の袖をくっと引っ張った。


「凄いね巫寿、覚えるの難しくなかったの?」

「難しかったから、瑞祥さんにいい語呂合わせを教えてもらったの」

「へぇ、どんな? 教えてよ」

「あ、えっと……うん。後で、ね」


ありがとう、と嬉しそうに笑った嘉正くんが前を向く。

申し訳ないけれど、私から嘉正くんにこの語呂合わせを教えることはできないだろう。

瑞祥さんがこの語呂合わせを私に教えてくれた時のことを思い出す。隣にいた聖仁さんの呆れた顔が蘇る。


『そんなハレンチな語呂合わせを女子が作らないの。そして後輩に教えるのも止めなさい』


巫寿も後輩に伝授してやれよ、と言われたけれどおそらく私の代でその語呂合わせは途絶えるだろう。