文殿最奥の一角にはまねきの社の過去の神事や神修の学校行事がビデオに残されている。

月兎の舞のビデオテープも約30年分ほど記録として残っていたので、私と瑞祥さんでいくつか選別することにした。


「お二人みたいに何年も舞手に選ばれてる人の分はどうしますか?」

「んー、だったら1番最近の年のだけにしようか。そう変わらんだろ」


はい、と返事をしていくつかのテープは棚に戻した。


「思ったより多いんですね、何年も舞に選ばれてる人」

「だな。にしてもこれ今日中に全部見れんのかぁ?」


深いため息をついた瑞祥さんはガシガシと頭を書いてテープのラベルを見比べる。

その時、棚の影から聖仁さんたちが顔を出した。「お待たせ」と手のひらの中の鍵をカチャカチャ揺らす。


「借りれたよ、視聴覚室」

「ちゃんと片付けるなら使っていいって」


よっしゃ、と瑞祥さんが指を鳴らす。


「そっちはどう?」

「半分くらいは仕分けたぞ。ラベルに生徒の名前が書いてねぇし名簿もないから、過去のパンフレットと見比べながらやってんだよ」

「ここ十年分とかでいいんじゃない?」

「そのうちの半分は俺と瑞祥だけどいいの?」


なーるほど、と苦笑いを浮かべた天叡さんはビデオテープに手を伸ばした。