言祝ぎの子 陸 ー国立神役修詞高等学校ー


不器用だけれど真っ直ぐな瞳が私を射抜く。両手を伸ばし私の首元に紺色のマフラーをかけた。


「色々あったし散々迷惑をかけられたが、俺はお前────巫寿に出会ったことを後悔したことは一度もない」


とくん、と心臓がいつもと異なる音を立てた。

偽りも誤魔化しもしない正直な瞳から目が反らせない。


「だからそれ以上自分を責めるのも、過去を悔やむのもやめろ。言祝ぎを口にしろ」


顔が熱くて心臓がうるさくて、すごく緊張している時みたいな感覚なのに少しも嫌な感じがしない。

泣きたくて笑いたくて、恥ずかしくて嬉しくて。言葉にならない感情がただただ胸を熱くする。

誤魔化すように頬に当たるマフラーに手を伸ばした。


「これ……恵衣くんの」

「なんでお前は天気が悪い日に限って外に出るんだよ」


恵衣くんは眉をひそめてふいっと顔を背ける。

彼なりの不器用な優しさに気付き、くすぐったい気持ちになる。


「もう戻るぞ。他の奴らが"巫寿がいない"ってウロチョロして鬱陶しいんだよ。どうせ神修に帰る準備も終わってないんだろ」


みんな私のこと探してくれてたんだ。夕飯前に誰にも言わずふらりと抜け出してしまったから、皆には申し訳ないことをしてしまった。

後片付けが終わっていないこともバレてしまって少し恥ずかしい。