キィと鉄が擦れる乾いた音が響いた。
ゆっくり振り返ると、昇降口の前でマフラーに顔を埋めた恵衣くんがじっとこちらを見つめて立っている。
「またお前は屋根のない場所でうずくまっているのか」
そんな言い方に苦笑いで肩をすくめる。
色々あったせいでもう随分前のことのように思えるけれど、雨が降る中私を探しに来てくれた恵衣くんに「屋根のある場所にいろ」と怒られたことがあった。
わざわざこの場所を選んでいる訳ではないのだけれど、一人になりたくてふらふらと歩いていると自然と外に辿り着いてしまうのだ、
隣に並びフェンスにもたれかかった恵衣くんが空を見上げ息を吐く。
「……今日は冷えるな」
無駄な会話を嫌う恵衣くんが話題を振ってくる。気を遣われているんだなぁと申し訳ない気持ちが芽生え、なるべく明るい声を意識して口を開く。
「恵衣くんは、あの時慶賀くんが内通者だって知ってたの?」
隠す素振りも見せず「ああ」と頷いた恵衣くん。
やっぱりな、と息を吐いた。
神職さまたちが駆け込んでくる直前、自分と席を変われと言ったのは慶賀くんから私を遠ざけるためだったのだ。
以前、薫先生は恵衣くんへ本庁の内情を調べさせたり個人的に色々と頼み事をしていた。今回も薫先生からあらかじめ全て伝えられた上で、私のことをずっと気にかけてくれていたのだろう。



