言祝ぎの子 陸 ー国立神役修詞高等学校ー


とん、と肩を叩かれる。顔を上げると薫先生が笑って私を見下ろしていた。先生は慶賀くんの前に歩いてでると膝を着く。


「たとえ間違えたとしても、何度でもやり直せるのがこの場所だ。慶賀の戻る場所はこれまでもこれからも、ずっとここにある」


薫先生が手を差し出す。

目がこぼれ落ちそうなほど見開いた慶賀くんはその手と私たちの顔を見比べる。分厚い涙の膜が張って、やがて大粒の雫がぼたぼたと床に落ちる。


「ごめん、ごめんなさい。ごめんなさい……ッ。俺、皆が好き。皆のことが大切なんだ……ッ!」


心から出た言葉というのは自然と言祝ぎが溢れるものだ。そういう言葉は胸が熱くなって、泣きたくなるほど心地いい。

目尻の涙を拭って皆は駆け寄る。


これからどうなるかなんて誰にも分からない。みんな途方もない不安を抱えている。けれど今はただ、己の罪を悔やみ道を正そうとしている仲間に寄り添いたかった。