俺、神職失格だな───そう頼りなく笑う。
それは違う、絶対に違う。
神職は誰かのために動ける人、利他の心を何よりも大切にする。
やり方は間違えたかもしれないけれど、慶賀くんが裏切りを選んだのは妹の賀子ちゃんを救いたかったから。それは紛れもなく慶賀くんが神職である確たる証拠だ。
「賀子ちゃんを救うために自分を犠牲にした慶賀くんこそ、誰よりも立派な神職だよ……ッ!」
慶賀くんが目を見開いて私を見つめた。
皆の視線が私に集まる。
絶対に許されないことをした。すごく辛くて悲しかった。けれど罪を犯した慶賀くん自身が今一番苦しんでいる。
二年近く一緒に過ごした。慶賀くんがどんな時に笑ってどんな時に泣く人なのかを知っている。
「言い逃れしないのは、神職失格だって思うのは、そうやって泣いて悔やむのは────最後の最後のところで、私たちのことを裏切りきれなかったからだよね?」
慶賀くんの中に、まだ私たちが残っているのなら。
「これまでみたいに、みんなで考えよう! 乗り越えようよ」
来光くんが目元を真っ赤にして叫ぶ。
「これまで散々馬鹿なことに付き合わされてきたんだ。最後までとことん付き合うから」
嘉正くんがどこか呆れた顔で笑う。
私達はいままでそうやって過ごしてきた。そうやって何度もピンチを乗り越えてきた。誰かが転べば誰かが手を差し出して、お互いの背中を守りあってきた。



