「一緒に勉強して飯食って寝て。笑って泣いて喧嘩して。危ねぇ瞬間も何度も切り抜けて必死になってる俺らを、どういう気持ちで見てたんだよ!? 俺ら全員、死ぬとこだったんだぞッ」
泰紀くんが怒鳴る。怒りで震える声は頼りなく泣いているようにも聞こえた。
全ては神々廻芽が仕組んだこと。でもそれを手伝ったのは慶賀くんだ。手引きをした時点で慶賀くんも共犯者になる。
「仲間じゃなかったのかよ、親友じゃなかったのかよ! それも全部嘘だったのかよ!!」
「違う! 泰紀、俺はお前のこと本当に親友だと……」
「名前で呼ぶんじゃねぇッ!!」
それは何よりも激しい拒絶だった。
顔をくしゃくしゃにした慶賀くんが声を出さずに泣いている。
慶賀くんはそうせざるを得なかった。大切な家族を人質に取られたら、もしかしたら私も同じ選択をしていたかもしれない。
ただ仲間だと思っていた慶賀くんの裏切りは共感を遥かに凌駕する。
「もう止めろよ、泰紀も慶賀も。僕はもう、それ以上何も聞きたくない」
歯を食いしばった来光くんが震える声でそう呟く。
「馬鹿だよ、慶賀は本当に馬鹿だよ……ッ!」
嘉正くんの泣き顔を初めて見た。



