足音が教室の前で止まった。次の瞬間、教室の前と後ろの扉が勢いよく開いてなだれ込むように人が入ってくる。瞬く間に教室は神職を示す紫と浅葱色の袴で溢れた。


「な、なんだァ?」


あまりにも突然なことに私たちはその場に固まった。

神職さま達は私たちを取り囲むように立ち塞がり、険しい顔で私たちを見ている。いや、私たちを見ていると言うよりむしろ────。

神職さまたちの間から薫先生が現れた。

いつも楽しそうに笑っている薫先生が、今日はどことなく表情が硬い。


「薫先生、これどういうことですか?」

「なんか急に神職さまたちが駆け込んできたんですけど!」

「フラッシュモブ……?」

「そんなんどこで覚えたん瓏」


薫先生は何も答えず苦笑いを浮かべて肩を竦めた。そしてゆっくりと私たちを見回してある一人の所で視線を止める。


「……自分から打ち明けてくれると思って、待ってたんだよ。でも話してくれなかったからこうするしかなかった。助けてって一言言ってくれれば、助ける方法を考えたのに。俺ってそんなに頼りない先生だったかな。はは」


笑っているはずなのに薫先生の目はとても悲しげで、思考がなかなか追いつかない。


薫先生は一体何の話をしてるの?

打ち明ける? 一体何を、だれが?


ばくんばくんと心臓が煩い。息が詰まるような緊張感が流れている。誰かが息を飲む音が聞こえた。






「内通者は────慶賀だったんだね」