襟首に掴みかかった来光くんと、その顔面を鷲掴みにして抑えこむ恵衣くん。
周りのギャラリーたちは始まった喧嘩をはやし立てて、どっちが勝つか人生ゲームのお札で賭け始める。
やめなさい本当に。
「あはは、元気いいね。喧嘩しててもいいけど話だけちゃんと聞いて」
止めんのかい、と信乃くんのツッコミが入る。ツッコミ役がいてくれて良かった。
「鞍馬の神修の先生たちと話して、週明け月曜日の詞表現実習は稲荷山で3学年合同の実践実習をすることになったよ。外に出る準備だけして教室で待機しといてね」
実践と聞いてみんな、特にこっちの神修メンバーの顔が分かりやすく曇った。「薫先生」と「実践」を結びつけるとロクな事がないのを身をもって知っているからだ。
「そんな露骨に嫌そうな顔しないでよ。みんなの経験値を上げるためなんだから」
「薫先生の場合いきなりドラゴン当てて来るから嫌なんだよ!」
「そうですよ! "始まりの村"から始めたいの僕らは!」
「段階を踏ませてください。まずはスライムからがいいです」
みんなの必死の訴えを笑って聞き流す。
駄目だこの人、聞き入れる気がさらさらない。



