言祝ぎの子 陸 ー国立神役修詞高等学校ー


「巫寿の()って、思えば当て字だよね」


うずめの社からの帰り道、まだ遅い時間でもなかったので途中で団子屋に立ち寄った。表の椅子に座ってみたらし団子を頬張りながら、スマートフォンで自分の名前の漢字の意味を調べてみる。

巫寿の巫は音読みでは「フ」訓読みでは「かんなぎ」と読み、「かんなぎ」は"神様のご意志を世俗の人々に伝える役割を持つ人"という意味があるらしい。そして寿(ことぶき)には「長寿」や「めでたいこと」などの意味がある。

これまで自分の名前の意味を調べる機会がなかったので、こうして改めて調べてみると正しく神職の家系に生まれた子供の名前なのだと実感する。


ただ使われている漢字が特殊なのもあって、この名前にどんな意味が込められているのかは分からなかった。


禄輪さんなら知っているだろうか。帰ったら電話してみようかな。


みたらし団子の最後の一個を頬張ったその時。


「あれ、巫寿?」


名前が呼ばれて振り返ると、私服姿の慶賀くんが立っていた。

そういえば朝広間で皆に会った時、慶賀くんの姿がなかった。私と同じで出かけていたようだ。


「慶賀くん。今帰り? どこか行ってたの?」

「うん、帰り。実家に顔出してたんだ。賀子(かこ)の具合が良くないって連絡あってさ」


少し暗い表情の慶賀くんに唇を窄める。