言祝ぎの子 陸 ー国立神役修詞高等学校ー


中身を確認するとどうやらお母さんのスケジュール帳のようだ。12:00定例会議、京都出張など仕事に関する予定や、祝寿始業式、巫寿予防接種などプライベートに関するスケジュールも記入されている。


「あら、それは泉寿の日記ね」


顔を上げるとお盆にオレンジジュースを乗せたおばあちゃんが私の手元を見下ろしている。


「日記? スケジュール帳みたいですよ」

「前のページはね。後ろを見てごらんなさい」


言われた通りにページをめくっていくと、一週間ごとに細かい予定が書き込めるページが出てきた。そして毎日ではないけれど、空いているスペースに五、六行の日記らしきものが記されている。


「泉寿って飽きっぽい子だっから、日記を書いても二日と続かなくてね。だから私が"スケジュール帳に書いたら?"って提案したら、少しだけ続くようになったみたいなのよ」


なるほど、だからスケジュール帳に。


それにしてもお母さんって飽きっぽい性格だったんだな。

お兄ちゃんがギターやカメラといった新しいことに手を出しては一週間もせず押し入れの肥やしにしていたので、しっかりお母さんの性格を引き継いでいたようだ。

ペラペラとめくって中身を読んでみる。日付からして私は三歳、お兄ちゃんが十歳頃だ。空亡戦が激化した頃で、両親が亡くなる直前だ。

私とお兄ちゃんが喧嘩をした話や同僚の噂話、お父さんの惚気話などの取り留めのない日常が記録されている。