「これを持ってきてくれた同僚の方がね、"一恍は暇さえあれば泉寿ちゃんの写真を眺めてましたよ"って。ほんと昔から泉寿バカなんだから、呆れちゃうわよね」
呆れたような口振りで、でもどこか嬉しそうに懐かしむおばあちゃんの表情は優しい。
お父さんはお母さんにベタ惚れだったという話は色んな人から教えて貰っているので簡単に想像することができた。
お父さんらしいや。
「本当に呆れちゃう」
そう言って息を吐いたおばあちゃんは段ボール箱から次から次へと写真立てを取り出す。幼少期から大人になるまでをしっかり辿れる量に私も笑うのをやめた。
流石にこれはやりすぎだよお父さん、ちょっと怖いんだけど……。
お父さんの段ボール箱には、狂気的な量のお母さんの写真が入っていたこと以外これと言ったものはなかった。
何か日記帳みたいなものがあればいいんだけど。
「泉寿の方は、結構色々入ってて……と」
廊下の奥から固定電話が鳴り響き、おばあちゃんが「はいはい」と言いながら立ち上がる。
「好きに見ていいからね。あとでジュースを持ってくるから」
「ありがとうございます」
ひとつ頷いたおばあちゃんは小走りで部屋を出ていった。



