「────巫寿ちゃん、いらっしゃい!」
学校に復帰した週の週末。
事務室で迎門の面を借りて鬼脈を抜けた私は、母の生家であるうずめの社を訪ねた。
事前にお邪魔したいことを伝えていたので、鳥居の前で待ってくれていたおばあちゃんが両手を広げて歓迎してくれる。
「こんにちは。急にお邪魔してすみません」
「いつでも大歓迎よ。それより、お昼まだよね? 色々作ったから一緒に食べましょう。和来は社務所にいるんだけど、おじいちゃんは出かけてるから安心して」
ふふ、と片目をつむったおばあちゃん。曖昧に笑って肩を竦めた。苦手意識を抱いているのがバレているらしい。
さぁこっちよと背を押され、社の鳥居をくぐった。
休みの日にわざわざうずめの社へやってきた理由は一つ、私自身のことについて調べるためだ。
学校を休んでいた三日間、ずっと考えていたことがある。"何故神々廻芽は私を狙うのか"。
『これまで起きたことぜーんぶ、芽さまがあんたを殺すためにやった事や』
伊也の言葉がずっと胸に引っかかっていた。
私と神々廻芽が出会ったのは一年半前、顔を合わせた回数なんて片手で数えられる程度だ。なんの接点もないはずなのに、彼は私を殺したいと思っている。思い当たる節はひとつもなく、何故自分が命を狙われているのか全く分からない状況だ。
だからまず、私の知らない私の事を調べてみることにした。
両親が健在だった3歳の頃までは私もこちら側の世界と関わりがあったらしい。もし神々廻芽と何らかの関わりがあるのだとしたら、その頃には既に出会っているはずだ。
と言ってもそんな幼い頃の記憶なんて何一つ残っているはずもなく、私の周りにいた人たちの記憶を頼ることにした。お父さんとお母さんの記憶だ。



