眞奉が思いのほか大胆な性格なのだと今になって思い知る。深く息を吐きながら眞奉を見上げると、彼女は私の顔をじっと見つめ返した。
ふと、ひとつの疑問を思い出して口を開く。
「そういえば眞奉、あの時はどうして目を逸らしたの」
「あの時とは」
「ほら、眞奉が妖の姿になって私のところに駆けつけてくれた時」
普段は髪と瞳が赤いこと以外は人間と何ら変わりない"人型"の姿で私の前に現れる眞奉。その本来の姿は、炎を宿した翼を持つ蛇の妖だ。
伊也に鉢合わせて攻撃を受けた時、眞奉はかなり本来の姿に近い容姿で私の前に現れた。
「巫寿さまは私のあの姿がお嫌いかと思いましたので」
「え? そんな事ないけど」
そもそも眞奉の本来の姿を見たことがないので嫌いも何も無い。それに初めてあの姿を見た時、緊迫した状況だったことも忘れて息を飲むほど美しいと思った。
僅かに目を見開いた眞奉は表情こそ変えないものの、疑うように私の瞳をじっとのぞき込む。
「あ。僕わかったかも」
来光くんが胸の前でポンと手を打った。
「さっき聞いた話から察するに、巫寿ちゃんのこと怖がらせたくなくてわざと見せないようにしてたんじゃない? だってほら、巫寿ちゃんが騰蛇と離れ離れになったのって、一学期が終わる頃なんでしょ。その頃ってまだ、妖のこと怖いって思って頃じゃなかった?」



