「あ、それとこれ。巫寿が倒れてたそばに落ちてたから一応拾っておいたんだけど」
泰紀くんが横に置いていた何かを拾い上げて私に差し出す。黒光りする鞘に収まった短剣は、眞奉があの時私に向かって投げたものだ。
「そうだ、これ眞奉のだよね。貸してくれてありがとう」
「それは巫寿さまがお持ちください」
「私が?」
両手で受け取った短剣を見下ろす。
ちょっと見ていいか?と泰紀くんがうきうきした顔で身を乗り出す。もちろん、と剣を差し出した。
「泰紀って昔から刀とか見るの好きだもんね」
「おう、だってカッケェじゃん。きらめく白銀の刃、これぞ武士の魂ってな! まぁ俺は槍専門だから扱えねぇんだけど」
鞘から短剣を抜いた泰紀くんは感嘆の声を漏らしながら恍惚の表情を浮かべて刃を眺める。
なかなかの業物らしい。私たちにはよく分からない。
「これ名前とかあるの?」
来光くんはあまり興味がないようで何となくといった様子でそう尋ねてきた。
あの時眞奉に教えてもらったはずだ。この短剣の名前は確か。
「國舘剣だったかな」
見事に揃って皆の顎が外れた。飛び出でるんじゃないかと思うほど目をかっぴらいて私と短剣を凝視する。
え、私何か変なこと言った?
「みみみ巫寿さぁん? それ、ほ、本気で言ってる?」
ひっくり返った声でそう聞く泰紀くん。國舘剣を持つ手が小刻みに震えており、柄がカチカチと音を立てた。



