小さく首を振る。
私は庇角院が大好きだし、文鬼先生を守ったのは私がそうしたいと思ったからだ。
そう伝えようと思って口を開いたその時、横から伸びた手が鬼市くんの手首をガッチリと掴む。
「いつまで病人の手握ってんだ。傷に響くだろ」
険しい顔をした恵衣くんが鬼市くんを睨みつける。
「あ……別に握るくらいなら傷には響か────」
「うるさい怪我人は黙ってろ。そしてお前はやる事があるならさっさと行け」
鬼市くんはちらりと恵衣くんに視線を向けると、わざとらしいほどの深いため息を零した。そして私の手を離し立ち上がる。
「また後で話そう、巫寿」
「話すことなんてない」
「恵衣には言ってない」
まぁまぁと嘉正くんが恵衣くんを抑え、落ち着けやと信乃くんが鬼市くんの肩を揉む。なんだかみんなの視線が生暖かくて居心地が悪い。
また後でな、と出て行った鬼市くんをみんなで見送り私たちは向き直った。
「それでさ、ずっと気になってたんだけど、そちらはどちら様?」
すっと手を差し出した来光くんにつられて示された方へ顔を上げる。私を見下ろす眞奉と目が合った。眞奉に膝枕してもらっていた事を思い出し、あっと飛び起きてまた肩の傷に悶絶する。暫くは同じ事を繰り返しそうだ。



