「祓え給え 清め給え 神ながら守りたまえ 幸《さきわ》給え────」
言い終わるとほぼ同時に背骨の真ん中辺りを蹴飛ばされた。そのまま前のめりに倒れ込む。結んだ髪を鷲掴みにされ後ろに仰け反る。
略拝詞はぎりぎり間に合った。天司の放った風の刃は二人に当たる前に弾けた水風船のように霧散する。
耳元で伊也の高笑いが聞こえる。
痛みと苦しさにぼろぼろと涙がこぼれた。
苦しい、怖い、痛い。私じゃどうにも出来なかった。守れなかった。手も足も出なかった。
「あははッ! 死んで、巫寿ちゃん!」
短刀が風を切る音が聞こえ、きつく目を閉じたその時。
「────私の娘に、手を出すな」



