「あーあ、お仲間二人死んでもうたで。あんたのせいやな巫寿ちゃん! あんたが生きとるから周りが死ぬんや!」
激しく揺らぐ心を必死に繋ぎとめる。
二人は死んでなんかない。だってもし誰かに命の危険が迫っているなら、先見の明が教えてくれるはずだ。
動揺するな、怯むな。
「鬼子ちゃんお願い! 立ってッ!」
「無駄や! その娘はもう戦意喪失しとるただの役立たずや!」
「せめて文鬼先生を連れて逃げて!」
文鬼先生が痛む足に顔を顰めながら鬼子ちゃんを立ち上がらせようと片脇を持ち上げる。逃げるんや鬼子、という先生の声ももう届いていなかった。
天司が錫杖を構えたのが見えた。空気の塊が錫杖の頭に集まり始める。考えるよりも先に体が動いた。
渾身の力で伊也の短刀を押し返した。一瞬鍔迫り合いに僅かな隙間ができて短剣が軽くなる。勢いよく伊也の短刀を弾き飛ばし背を向けて走り出した。
両手を合わせ柏手を響かせる。
「祓え給え清めたま────」
袈裟懸けに感じた燃えるような熱に息が止まった。続けざまに皮膚を裂かれるような激しい痛みを感じ一瞬気が遠くなる。遠のいた瞬間に力が抜けたらしく、砂利が膝に刺さる。声が震え息が詰まる。
遠のく意識を必死に掴み寄せた。



