言祝ぎの子 陸 ー国立神役修詞高等学校ー


伊也は落下しているから着地点は大体予想できる。初撃は躱せるだろう。身を守る武器すらない私に第二の攻撃を防ぐことができるだろうか。

何かあれば、何か。


「巫寿さまッ! 手をお上げください!」


考える間もなく手を挙げたその瞬間、開いた掌に吸い込まれるように何かが投げ込まれた。反射的に掴んで顔を上げる。

黒光りする鞘に収められた短刀だった。そのまま鞘から思い切り刀身を引き抜く。左右対称な刀身、短刀ではなく短剣だったらしい。キンッと金属同士がぶつかり合う音が響いたのはほぼ同時だった。

顔を歪めた伊也が目の前にいる。刃どうしが額の上で合わさってガチガチと嫌な音を立てた。とてつもない力で私に向かって刃を押し付けてくる。

押し戻そうと腕に力を込めるけれどブルブルと二の腕が震えるだけでピクリとも動かない。


泰紀くんみたく、もうちょっと鍛えとけばよかった……!


「ほんま、うちのことイラつかせる天才やな"あんたら"はッ!」


力に押されて踵が滑る。

ギッと奥歯をかみ締めたその時、短剣を握る私の手に手が添えられた。しなやかな白い細指に思わず口角を上げる。


「眞奉!」


ええ、といつもと変わない冷静な声が応える。