恐らく神楽殿で神職さまたちの怪我の治療を助けた時に沢山力を使ってしまったのだろう。私もかなり疲労感を感じているから、27倍難しいと言われる妖力を扱う鬼子ちゃんはもっと疲れているはずだ。
男子二人が文鬼先生の両脇を支える。
「堪忍な。すぐ戻るつもりやってんけど、膝が外れる癖がでてしもて。鬼子のことそないに責めんたって」
文鬼先生は鬼子ちゃんの頭に手を乗せた。
私は背中に回ってそっと手を添える。
「子供たち心配して待ってます。早く戻りましょう」
「ああ、おおきに」
せーの、と声を揃えて文鬼先生を立ち上がらせる。
さすが男の子二人、難なく先生を持ち上げるとゆっくりと歩き出す。これならすぐに社へ戻れそうだ。
胸をなでおろしたその時、まるでテレビのチャンネルを突然切り替えられたかのようにいきなり脳内に映像がブツリと入れ替わる。
青く燃える炎と、炎に包み込まれる庇角院の建物が見えた。
それがどういうことかを理解すると同時に「走ってッ!」と叫んで文鬼先生の背中を強く押す。
ほぼ転がるようにみんなが外へ出た瞬間、背中から轟音と共に激しい熱を感じる。足が絡まって土の上にずさりと転がった。勢いよく振り返れば、顔中に熱が降りかかる。
庇角院が青い炎で燃えている。
「助かった」
恵衣くんが私の二の腕を掴んで立ち上がらせてくれた。礼を言いながらひとつ頷く。



