軽口を叩くのもここまでだ。まずは建物内の捜索、もし文鬼先生が見つからなければ範囲を広げて探さなければならない。
先に飛び出して言った鬼子ちゃんも少し心配だ。
神職さまたちが黒狐族を里の外れで食い止めてくれているとはいえ、油断出来ない状況であることには変わりない。
二人ともすぐに見つかるといいのだけれど、という私の心配は杞憂で終わることになる。
門を押し開けて中へはいると玄関扉が開け放たれているのが見えた。たたきの上に座り込むふたつの人影を見つける。
「いた……!」
たたきの上に跪いていたのは文鬼先生だ。その身体を支えるように鬼子ちゃんが脇に手を入れて踏ん張っている。
やっぱり鬼子ちゃんひとりじゃ支えきれなかったんだろう。
信乃くん達が私を追い越して駆け付けた。
「女ひとりで支えられるわけないやろ! 退き!」
驚いた顔をした鬼子ちゃんは、すぐにばつが悪そうな顔をして目を逸らす。
「私だって、妖力を使えば……!」
「使えないから自力で運ぼうとしたんだろ。できない事を引き合いに出すな、時間の無駄だ」
恵衣くんの正論が炸裂する。正論は図星な時ほど刺さるものだ。鬼子ちゃんは顔を真っ赤にして下唇を強く噛んだ。



