言祝ぎの子 陸 ー国立神役修詞高等学校ー



「伊也は俺の実姉や」


実姉……ってことは信乃くんのお姉さん!?


「身内って比喩表現じゃなかったの!?」

「ツッコミどころそこかいな」

「ご、ごめん」


咄嗟に詫びを入れるけれど、なんだか謝るのも少し変な感じだ。

そうか、本当に身内だったんだ。様子がおかしかったのも頷ける。


「野狐に落ちてからはずっと行方知らずやったんや。まさかこんな所で再会するとはな」

「それは……驚くよね」

「でもまぁ野狐落ちした時点で信田妻の敵やし、ほんま変に気ぃ遣わんでええよ」


気を遣うなと言われても、そんな話を聞いたあとじゃ反応に困る。

私は伊也に命を狙われたわけで、その伊也が信乃くんのお姉さんだったなんて。


「だったら言わせてもらうが、身内の管理くらい自分たちでどうにかしたらどうなんだ? 他一族や俺たちを巻き込みやがって迷惑この上ない」


ちょっと恵衣くんは気を遣わなすぎでは?

案の定少しむくれた信乃くんが「俺に言うなや」と顔を背ける。わざとらしく深いため息を吐いた恵衣くんは顎で前を示す。

庇角院の建物が見えてきた。