「い、今……なんて」
震える声に弾けるように振り返る。呆然と立ち尽くす鬼子ちゃんの手から包帯が転げ落ちた。
私が声をかけるよりも彼女が駆け出す方が早かった。
「鬼子ちゃんッ! 待って!」
追いかけようと慌てて立ち上がり、グッと袴を引っ張られる感覚に足を止める。視線を下げると不安げな表情を浮かべた子供たちが私を見上げていた。
膝をついて子供たちと目線を合わせる。
「鬼子ちゃんと一緒に文鬼先生を探してくるから、皆は本殿で待ってて」
「すぐ戻ってくる……?」
ポロポロと零れる涙を拭ってやって「もろちん」と笑う。
「すぐに戻ってくるから、皆は文鬼先生が帰った時心配しないように涙を拭っておいてね」
分かった、と力強く頷いた子供たちの頭に手を置いた。出口へ向かう途中にいた信乃くんと恵衣くんに声をかける。
もし文鬼先生が怪我をして動けなくなっているのなら、私と鬼子ちゃんだけじゃ支えきれない。男手が必要だ。
簡単に説明するとすぐに動き出してくれた二人。私たちは庇角院を目指して走り出した。



