言祝ぎの子 陸 ー国立神役修詞高等学校ー



「違う違う、僕らなんて最前線に配置されたら即死だよ。それに神役諸法度上まだ僕らは戦っちゃダメだし」

「巫寿、"里の外れで火事の可能性あり"って形代(かたしろ)を遣わせてくれたでしょ? だから俺たちが第一陣で出発したんだよ」

「ほんで途中で鬼市とすれ違って、黒狐族の襲撃と巫寿が一人で戦ってるって話を聞いて駆け付けたってこっちゃ」

「後発の神職さま達が追いついたから、俺たちは怪我人担いで戻って神楽殿を手伝えってれ言われてさ。瓏以外は戻されたんだよ」


なるほど、そういうことだったのか。

そう言えば鬼市くんと煙の方角に向かう前に形代を送ったんだった。だから他の神職さまたちより皆の方が駆け付けるのが早かったのか。

何はともあれみんなが無事でよかった。瓏くんも私たちの中じゃ誰よりも実践慣れしているようだし、きっと上手く切り抜けるはずだ。


「よし、それじゃあ俺らも手伝いに行こう」


嘉正くんのその一声で皆はすくりと立ち上がり方々に散っていく。すぐさま自分の役割を見付けるとテキパキと手を動かして行った。

また自分と皆との差を感じてしまって落ち込みそうになるけれど直ぐにぶんぶんと首を振る。


「反省は後、目の前のことに集中……!」


そう言い聞かせて首を伝う汗を拭おうとしたその時、上げた右腕を掴まれて何事かと顔を上げる。

険しい顔の恵衣くんが私を見下ろしていた。