言祝ぎの子 陸 ー国立神役修詞高等学校ー


「巫寿! こっち頼む!」


聞きなれた声に名前を呼ばれて振り返ると、丁度神楽殿へ雪崩込むようにして入ってきた泰紀くんの姿を見つけた。

背中には怪我人を二人も背負っていたらしく。呻き声を上げながら二人を床に下ろした。


「巫寿ちゃんこっちも!」


そんな声とともに来光くんたちが次々と怪我人を中へ運び込むとその場に座り込んでバタバタとひっくり返った。


「皆大丈夫!?」


慌ててそばへ駆け寄ると「ヘーキヘーキ」と嘉正くんは苦笑いを浮かべつつ両手をひらひら振って無事を知らせる。

疲れ果ててはいるものの目立った怪我は内容でホッと胸をなでおろした。


「ていうか巫寿の方こそ大丈夫なの!?」

「え? 私はなんともないよ」


怪我人の手当で白衣が所々赤くなっているので私の怪我を心配してくれたのかもしれない。「無理しないでよ」と言われて、とりあえずひとつ頷いた。

一番怪我の程度が酷い人から祝詞を奏上してから応急処置を施す。包帯を巻きながら皆の顔を見回した。


「皆は戦線に割り振られたんじゃなかったの?」


私がこちらへ戻る直前に皆が駆けつけて、伊也たちに総攻撃をかけていた。だからてっきり私以外の皆は最前線に配置されたのだと思っていた。