その子に駆け寄って膝を着いた。
「どうしたの!? お母さんは!」
「巫女のお姉ちゃん……! お母ちゃん達とはぐれてしもたぁッ!」
手を伸ばして私の首に抱きついたその子の背中を撫でる。身体はすっかり冷たくなって可哀想なほど震えていた。
一人きりでどれだけ怖い思いをしたんだろう。
「大丈夫だよ、私と一緒に本殿へ避難しよう。お母さん達もきっとそこにいるはずだから」
頬を流れる涙を白衣の袖で拭ってあげると、男の子は堪えるように唇をかみ締め弱々しく頷く。偉いね、とその頭を撫でて男の子を抱き上げた。
辺りを見回す。眞奉の姿は見えない。
眞奉、私はこのまま本殿を目指す。あなたは里の人たちの避難を手伝って。
心の中でそう告げれば「主命とあらば」と脳裏に届く。頼んだよ、ともう一度念じて本殿を目指した。



