焼き祓おうと怪し火を放つけれど、眷属神も噛み付いて離さない。
「ほっほっほ、伊也どのが犬っころに襲われておるわい」
遠目に様子を見ていたぬらりひょんがおかしそうに目を細めた。
「このまま見物にするのもよいがあとが怖いからのう。どれ天司どの、助けてやってくだされ」
「承知」
頷いて前に出た烏天狗が静かに目を閉じた。右手に持っていた錫杖を地面に軽く叩きつける。錫杖の先についた輪っかの金具がシャランと音を立てた瞬間、パァンッと音を立てて眷属神が霧散する。
私が息を飲むのと同時に眞奉が顔を苦らせた。
「クソジジィ共が、見えとるならさっさと祓えや!」
「これは心外ですな。我々は協力関係を結んでいるだけで仲間ではありませんぞ」
「うむ」
「ごちゃごちゃうるさいねん! ええからさっさとその娘を殺し! それが芽さまの仰ってる"目の上の瘤"や!」
ほう、と目を丸くしたぬらりひょんが私を見た。高い枝の上から獲物の様子を伺う鷲のような目だった。
「巫寿さま、状況はこちらが不利です。あの野狐一匹なら何とかなりましたが、ぬらりひょんと烏天狗が加われば私は押し負けます」
自分からそういうのだから間違いないのだろう。眞奉が押し負ける相手に私が適うわけがない。
一旦身を引いて隠れよう、そう提案しようとしたけれど今背中を見せるのは得策じゃない。一体どうすれば。



