訳が分からない。どうして神々廻芽は私を狙うの? 私を殺したいとまで思う理由は何? どうして私を狙うために周りのみんなを巻き込むの?
手が、膝が、喉がわなわなと震える。恐ろしいものが身体の中を走り回っているようだった。
その時、右手首を力強く握られて我に返った。視線を向けると私の手首を眞奉が力強く握りしめている。眞奉を見上げた。彼女は変わらず煙幕の向こうを睨み続けている。
握られたことで芯に力が入ったような気がした。身体の震えはいつのまにか収まっている。しっかりなさい、眞奉の目がそう言っているような気がした。
そうだ、怯えて縮こまっている暇なんてない。今は敵と対峙していて、一瞬たりとも気を抜いてはいけない時だ。
怖くて逃げたくても、立ち向かえるのは私だけ。何も出来なかったとしても、未来の自分たちのために有益な情報を残すことならできる。
どうして神々廻芽は私に固執するのか、すごく知りたいけれどそれを知ったところで未来の自分たちに何ができる?
それ以上にもっと他に重要な何かを、聞き出すことができるはずだ。
眞奉に手を引かれて煙の中を歩く。
必死に頭を巡らせた。
伊也と名乗った野狐の彼女と神々廻芽は繋がっていて、恐らく伊也は神々廻芽に従っている立場だ。
これまで起きた事件は全て神々廻芽が私を殺すために仕組んだこと。彼は何らかの理由で私を狙っている。
八瀬童子の里を襲わせたのは、里の戦力を奪うため。最初、伊也は私がここにいることを想定外だと言っていたから、里を襲ったことと私を狙っていることはおそらく関連しない。
そこで、「ん?」と眉根を寄せた。



