心臓が大きくリズムを刻み始める。
確かめなきゃ。
「あなたに指示を出したのは────神々廻芽なの?」
眞奉が私の手首を引いてゆっくりとその場を移動する。
煙幕が揺らめいた。
「アハハッ、何をいまさら!」
嫌な笑い方だ。頭の奥に笑い声が残る。
「そうやぁ。うちは芽さまに命じられて動いてるあの方の手足や。この一年半何度も芽さまに命を狙われとったのに、まさか何にも気付いてなかったん? これまで起きたことぜーんぶ、芽さまがあんたを殺すためにやった事や」
身体中の血が一時に逆流する恐怖に息が詰まった。
唇がわなわなと震えて、咄嗟にギッと奥歯を噛み締めた。そうしていないと、とてつもない速さで迫り来る悪意に立ちすくんでしまいそうだった。握りしめた手のひらに汗が滲む。
私の予想は間違っていなかった────神々廻芽は、私を狙っている。
これまでの出来事が走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
一学期の空亡の残穢、方賢さんを唆したのも。二学期の応声虫、学生たちの声を奪ったのも。三学期の蠱毒事件、ノブくんに蠱毒のやり方を教えたのも。
全部私を狙うためにした事……?
私のせいで皆が、命の危険に晒されたの?
両手で喉を締められるような息苦しさに呼吸が乱れる。巫寿さま、と私を呼ぶ眞奉の声は柄になく焦りが滲んでいる。
どうして、なんで。
そう問い質したいのに喉の奥でつっかえてハッと空気が漏れるだけだった。



