ここどこだかわかんない、と嗚咽まじりに訴えるミコトはどうやら迷子になったらしい。

人の子は自分たちと違って夜と朝が反対なのだと聞いたことがある。きっともう家に帰らないといけない時間なのだろう。

近くに他の里はないし、八瀬童子の里に遊びに来ている子なんだろう。

一緒に行こ、と手を差し出すと必死に涙を拭って濡れた手でそっと握り返してきた。



里では案の定ミコトを探して大騒ぎになっていたらしい。お兄ちゃんらしき人に何度も例を言われた。

社の前の鳥居には落ち着かない様子で行ったり来たりするお頭が立っていた。怒鳴られるかな、と少しドキドキしながら足を進める。

俺の姿を見つけたお頭がハッした顔をして駆け寄ってきた。そのまま殴られるかと思って身を縮めると、俺の前に立ったお頭は何も言わずに俺の頭をぽんと叩くと社の中へ戻っていく。

怒られると思っていたので拍子抜けだった。